知恵のストーリー
2026/07/17
幼い頃、僕の世界は夢の世界と陸続きだった。
あの頃見ていた青空の先には、無限大の未来がずーっと広がっていた……海はどこまでも広く、その先には、可能性に満ちた異国がつねに輝いていた。

時代は移り変わり、僕の世界は狭くなった……いや、地球や世界のサイズが狭くなったりはしない。世界が裸にされただけなのである。情報革命によって。
世界はつねに、この瞬間にも戦争が続けられ、国の正義の違いとやらで、多くの血が流れていく……たくさんの、それぞれの生きてきたドラマが一瞬にして、ロケットが破壊した瓦礫の下に消えている世界。そこで失われた、それぞれの人生のドラマや家族のつながりを知ることもなく、ただニュースには数としてカウントされ、忘れ去られてゆく異常な情報社会。
そんな世界の中で僕は、タイムマシーンに乗り、この世界を離れることがあります。あなたはタイムマシーンに乗っていますか?
きっと、あなたも乗っていると思いますよ。それは「読書」です。
読書によって、時空を超えて作者が、僕だけに語りかけてくる。
もうこの世界には存在しない賢者が、一筆一筆に伝えたかった思いや情熱が、他の誰かにではなく、僕だけに語りかけてくれます。
この「本」というタイムマシーンは、ゆっくりこちらの歩調に合わせてくれます。決して焦らせず、あなたが立ち止まり、自分の心を整理する時間も待ってくれます。一枚一枚ページをめくると、ただの記号の羅列だった文字の世界から、あなたの思考の世界へと変換されてゆく。その豊かな時間は、指と呼吸と共に、イマジネーションの世界を作り出す。

連絡を忘れると不義理だと言われる気がして、連絡できなくなり、そのまま消えてしまう人間関係が多い中で「本」という存在だけは、ずーっと待ち合わせ場所で待ってくれていた友のように、何年経っても、挟んだままの栞(しおり)やスピン(本の紐)を開くと「旅の続きを始めましょうか?」と、待たせたことを責めることもなく、いつものように心の世界に伴走してくれる。
心が病んでいる時に一番救ってくれるのは、そんな、あなたにだけ語りかけてくれる友人としての「本」かもしれません。
そこには、あなたのように悩んでいる人がいたり、苦しみ抜いた先に希望を見出した、過去に生きた人の応援の言葉であったり「いや、迷っていてもステキなことだよ」と肯定してくれている賢者もいたりしてとても優しいのです。
孤独の時に、ゆっくりとあなたの呼吸に合わせて、静まりかえった空間の中で語りかけてくれるのが、「本」という優しい友人かもしれません。
あなたの部屋の中で、あなたの友人を探してみませんか。
もし、あなたの部屋にいないなら、明日、本屋に行きませんか。
ネットから撒き散らされた受動的な情報に疲れたら、歩調に合わせてくれる友を探しに。
僕の本棚には、たくさんの優しい仲間が、いつも僕を待っていてくれています。
「のぶゆき、いつでも応援しているから」「そして、ここで待っているから」と、まるで頼もしい友だち集団のように。
そして、アルゴリズムに与えられた情報ではなく、僕が選び取った友だちとして、誇り高く。

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心理カウンセラー衛藤信之
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