意外な衝突のワケ
夏休みは旅行や帰省など、家族で過ごす時間が増えます。その非日常が終わる9月は、夫婦の不満が顔を出しやすい時期でもあります。
女性は「せっかく一緒にいるんだから話したい」男性は、一緒にいる時間が長くなるほど、自分の世界に入りたくなります。

昔から女性たちは村で会話や共感を通して助け合い、男性たちは狩りに出て、獲物を「取れたか、取れなかったか」という結果を求められて生きてきた。そんな生活の違いが歴史的にあるようです。
妻「ねえ、この白と黒の服、どっちがいい?」
夫の頭では「餌を求められている!答えを出さねば!」とスイッチが入り「白かな」と答えという餌を差し出します。
妻「でも白って太って見えない?」
夫 えっ、この餌は違うの?「じゃあ黒」
妻「でも黒って地味じゃない?」
夫「……じゃあ白」
妻「だから白は太って見えるって言ったじゃない!」
そして夫は禁断の「じゃあ好きな方にすればいいじゃん!決めてるなら聞くなよ!」
はい、ゲーム終了です。
大切なのは正解ではなく「白は顔が明るく見えて素敵。黒は大人っぽくて今日の靴にも似合いそう」すると妻は「そうなのよ。でも白はここが気になるのよね」
と話し始めます。そこで「ああ、そこが気になるんだね」妻が求めていたのは「白か黒か」という正解より、自分との会話を楽しんでいるかを知りたいのです。

『ベスト・パートナーになるために』の著者ジョン・グレイも、こうした男女の違いを「男性は洞窟に入り、女性は話す」という比喩で説明しています。
夫が仕事から帰ってくる。
妻は一日、家事や育児をして「やっと話せる!」と思う。一方、夫は外の刺激から離れ、いったん穴ぐらに入って頭を空っぽにしたい。
妻「今日ね……」
夫「ちょっと一人にして」
妻「なんで?待ってたのに!」
妻はつながりたいから追う。夫は落ち着きたいから離れる。
相手を追えば追うほど逃げる。相手が逃げれば逃げるほど追いたくなる。
これは心理学で Demand–Withdraw Pattern(要求―撤退パターン) と呼ばれます。

妻「ちゃんと話そうよ」
夫「今は話したくない」
妻「また逃げるの?」
夫「逃げてない。一人にしてほしいだけ!」
二人とも関係を壊したいわけではありません。
妻は「つながりたい」
夫は「落ち着いてからつながりたい」
目的は同じなのに、方法が正反対なのです。
だから、ときには夫をリリースする。
「はい、洞窟で充電してらっしゃい」
すると充電が終わった夫が、ひょこっと穴ぐらからリビングへ出てくることがあります。
ただし夫も黙って消えないこと。
「頭を整理したいから30分だけ一人にして。落ち着いたら話そうね」と自分の心の中をアイメッセージで伝えることも大切です。
大切なのは、相手を必要以上に追わないこと。そして、相手を不安になるような、理由も語らないで、逃げっぱなしにしないこと。
「夫婦は一番近くて、一番遠い他人」と言われます。
カリール・ジブランの『預言者』の一節に「あなたがたの結びつきには、空間を置きなさい」そして、寺院の柱を比喩にして、柱は離れて立つからこそ建物を支えられる。「愛することは、一つになることではなく。近くにいながら、相手が自分とは違う人間であることを認めること」
だからこそ「わかっているはず」ではなく、お互いの心の取扱説明書を、何年かけても読み続けることが大切なのです。
今日のプロコースは夫婦が分かり合える内容です。

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心理カウンセラー衛藤信之
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