心のギフトの送り方

      2026/07/17

 僕は多くの企業顧問や、日々の教室、またカウンセリングを通して、そして日常の周りの人たちを見ていて、人間関係がうまくいかない人、誤解されやすい人の多くは「心の思いが、相手に伝わっていない」という共通点があります。

 長年、講師として僕が大切にしてきたことは、言葉はただの「記号」ではなく、相手に「思い(心)」を届けるギフトだということです。



 あなたが映画を観たり、本を読んだりした時の、ワクワク感をどう伝えてますか?
 「面白かった!」だけでは伝わりません。あなたが「どこに感動したのか」「なぜその場面が心に残ったのか」そして「それが自分の人生とどう重なったのか」を考えることは、あなたが人生を深く振り返ることにもつながります。

 では、どうすれば “あなたの言葉” が、相手の心にスッと染み込んでいくのでしょうか。



 僕たちはつい、土足のまま、自分の言い方で、相手の心に踏み込んでしまいます。でも、本当の意味で伝えるとは、相手の心の玄関で、そっと靴を脱ぎ、相手が見ている景色を一緒に眺めることです。相手が「小学生」なら、この言葉が分かるだろうか? あるいは「別のジャンルにしか興味がない人」には、「この言葉は、どう響くだろう?」と一度立ち止まることです。

 難しいことを優しく、優しいことを深く。相手の暮らしの温度を感じようとする。そのひと手間が、何よりも大切なのです。

 そのためには「物語(ストーリー)」で伝えることです。

 ネイティブ・アメリカンは “ストーリーテーリング” をとても大切にしていました。理屈は、相手に届きません。でも、あなたの人生のストーリーで「失敗したこと」「迷ったこと」「そこから自分が何を学んだのか」という体験談には、誰の心にも同じ風景を見せることができます。物語は、知識としてではなく “映像” として相手の中に残るからです。



 そして、話し手が意外と忘れがちなのが「沈黙」のデザインです。

 言葉を伝えることは、決して一方的に言葉を投げつけることではありません。  相手がこちらの言葉を、心の中で噛み砕き、自分自身の中の歴史と重ね合わせる間を作ることです。その答えを見つけるための「余白」をプレゼントしてあげること。その静かな時間の中で、相手は初めて「自分の答え」に出会っていきます。

 そして最後に、何よりも伝え手として大切なのが「Being(あり方)」です。

 伝えるトレーニングをしている「講師学」のメンバーたちが語ってくれました。

 「不思議なもので、『誰かに伝えよう』と思って映画を見たり本を読んだりすると、アンテナの感度が何倍も鋭くなりますよね」
 「あ、このセリフはあの人に響きそうだな」
 「この展開の意外性は、教室での例え話に使えるかも」

 ドラマを全部話してスッキリするのは、あなただけです。「どこをあえて伝えないで、どこを強調すれば、相手が一番ワクワクするか」を考えるのは、相手へのプレゼントを包装する作業に似ています。

 そうやって、自分の心に触れたものを「誰かのためのギフト」に変えようとする姿勢そのものが、Being(あり方)に変わります。

 そんなふうに、自分の感動を“誰かへのギフト”として見始めると、すべての出会いやドラマが、あなたの宝物に変わってきます。それらの「あなたのストーリーを伝える」ことが、大切な誰かの心に灯をともす。それが、誰かの一生ものの「生きる力」になります。伝えることは「ギフト」だと忘れないでね!

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心理カウンセラー衛藤信之
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