今が神なのだ…

   

 ネイティブアメリカン(インディアン)の人たちのイメージを尋ねると、
多くの人が、頭にイーグルの羽飾りをつけた姿を思い浮かべるのではないでしょうか。

 たしかに、イーグルが悠々と天空に輪を描いて飛ぶ姿には、神(グレートスピリット)の目線を感じさせるものがあります。
 その広がりのある視野や在り方にあやかりたくて、彼らはあの立派な羽飾りを身につけてきました。

 アメリカの平原で、イーグルが狩りをするとき。
 それはとても静かに始まります。
 空をゆっくり旋回しながら、タイミングを見極める。

 そして「今だ」と決心がついた瞬間、「ピィーッ」と鋭いホイッスルを鳴らします。

 その音に驚いたプレーリードッグたちは、我先にと巣穴へ逃げ込みます。
平原での椅子取りゲームの敗者、タイミングを逃した一匹を、イーグルは一瞬でカギ爪に収めます。

 イーグルの狩りは、静かに始まり、静かに終わります。

 イーグルは、「今ここ」で、自分に何が求められているかを見極める目を持っています。
 覚悟が決まったら、迷わない。決めたら、素早く動く。

 インディアンは、その姿を自分たちの生き方の見本にしてきました。

 彼らは言います。「プレーリードッグも、イーグルも、タイミングを躊躇した者が敗者になる。」

 「頭で考えるのではない。ハートが感じたら、『よし!』と決めて、迷わず動く。
 それが勝者の条件だ」と…

 僕たちは、何かをするたびに、すぐに正解を探そうとします。
 得か損か、失敗しないか、前例はあるか、大変じゃないか…そう考えすぎて、タイミングを逃してしまう。

 インディアンは言います。「ハートが判断を下したら、そこから先は、すぐに行動に移すんだよ。」

 自分のハートが「よし!」と言ったことを、人は決して後悔しません。
 でも、思考だけで選んだものには、常識や前例、恐れというノイズがたくさん混じります。

 こんな話があります。

 ある文化人類学者が、インディアンの長老にこう尋ねました。
 「太陽は神ですか?」

 長老は、少し笑って答えます。「太陽は、太陽だ。」

 学者は拍子抜けしました。神か、神でないか。
 白か黒か。はっきりした答えを期待していたからです。

 けれど翌朝、二人で地平線を眺めていたときのこと。

 闇の中から太陽がゆっくり昇り、大地に色が戻り、山が姿を現し、風が動きはじめました。

 その瞬間、長老はぽつりと言いました。

 「……今が、神なのだ。」

 神とは「何か」ではない。
 その瞬間、そのタイミングに宿るものなのだと、彼は伝えたかったのでしょう。

 あなたのタイミングを、忘れないでください。

 ハートが「よし」と感じた瞬間。
 それが、あなたにとっての「今がタイミングなのだ」という合図です。



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心理カウンセラー衛藤信之
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